「深谷ねぎ」の現象学

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「深谷ねぎ」を描いた小林真による現在約1万9000文字の文章。

論文、レポートともいわれるが、著者は「『深谷ねぎ』百年の叙事詩」といっている。2011年2月の初稿発表以来何度も改稿され、「深谷ねぎ」という現象のある限り完成することはない。Web、紙メディアでの発表のほか、朗読と画像による「映像版」も制作された。

誰にもわかる「用語集」より、一個人から広がる「文学」[編集]

きっかけは市の産学官連携プロジェクト「ゆめ☆たまご」が出展した2011年2月3日、さいたまスーパーアリーナでの埼玉県農工商連携フェア。深谷ねぎを品種で食べ分ける「利きねぎ」を行う際、資料として「深谷ねぎ用語集」(タイトル候補に「現代深谷ねぎ用語の基礎知識」「深谷ネギダス」など)作成が利きねぎの発案者飯塚商店飯塚雅俊らから提案され、著者が作成することになった。

しかし作業に取りかかった著者は、おびただしい量の情報を提示するのには辞書形式の「用語集」より、「文学」のスタイルの方がおもしろいと判断。客観的な事実だけでなく、1960年代深谷北部生まれの一個人の体験、見聞、多くのメディアからの引用、そこからの推察を通して、「深谷ねぎ」が百年の間に引き起こした「現象」を「深谷ねぎの風土」「深谷ねぎの品種」「深谷ねぎの流通と語られ方」「深谷ねぎの『現在』、そして『味』」という4章で描く長大な作品を完成させてしまった。

執筆の過程はGoogleドキュメント上で公開。スーパーアリーナでは微細な文字でのA4出力版が、その後、20日に「緑の王国 梅まつり」での「深谷カルソッツ」では、有志のデザイナーGがデザインしたA3両面版が配布された。

なぜ「現象学」なのか[編集]

序章で断っているように、専門家でもない著者が書けるのは「深谷ねぎ」でなく「深谷ねぎという現象」だけだ、ということだがそれだけではない。

後に関係者の間で「デニーズ現象学会議」といわれる2010年10月、市内デニーズで著者と当時のゆめ☆たまご担当職員Fとの話し合いがある。ふだん物事に動じない著者が、原作を手がけた「産業学習まんがゆめ☆たまご」の完成に自信を失い,Fに相談したのだ。その時、Fは「どんな作品になろうが、それはいわば『まんが』の現象学です。色がぬれなかったら、ぬり絵でもいい。とにかくかたちにしましょう」と励ました。

まんがはその後、一般市民にボランティアを公募する、前代未聞の「市民まんが」というかたちで完成。著者はこの会議でのFが発した「現象学」をゆめ☆たまご初の文学作品のタイトルに取り入れた。

過去の文学作品からのスタイル引用[編集]

無謀にも中上健次のような土地の文学を自分なりの展開で構想していたという著者は、ジェイムス・ジョイス『ユリシーズ』での過去の文体のパスティーシュを取り入れる実験を、本作でスタイルのかたちで試みたという。以下、その実験を記す。


1) 改行なし=ガルシア・マルケス『族長の秋』。マジックリアリズム的に品種を描きたいという企てもあったという

2)ミニ同窓会=ドストエフスキー『白痴』でのイポリートの語り。一見、本筋とはまったく関係ないこうした部分にこそ「文学」を豊かにする力がある、と著者は語っている

3) 品種や商品の羅列=フローベール『ブヴァールとペキュシェ』の「紋切型辞典」や、カエターノ・ヴェローゾ『ザ・ストレンジャー』(歌詞)

なかなか完成されない「映像版」[編集]

2013年1月27日の第1回「深谷ねぎまつり」を前にで、実行委員長であるパンチャ・ピエーナ経営者栗原統が朗読と画像の「映像版」制作を提案した。著者がいつものように安易に引き受けると、当時の現役第20代フラワークイーン(めぐ・えり・レイチェル)が朗読を快諾。著者は1章1名(グループ)とするため自身の主宰する本庄を本拠とする劇団NINOKURAの俳優今井雄一と木部裕貴、知己である当時高校演劇部に所属の佐藤礼奈にも朗読を依頼し、ねぎまつり前日までに録音データを手にした。

しかし、当日朝までに編集は間に合わず。瀧宮神社に持ち込まれたプラズマモニターには何も映らないまま、すがすがしい、朗々とした朗読音声だけがまつりの境内に流れた。

その後、3月3日、緑の王国「深谷梅まつり」で行われた「深谷カルソッツ」には間に合うかと思われたが、著者の油断のためか、またも間に合わず。2年越しとなった2014年1月26日第2回「深谷ねぎまつり」で完成、公開の予定だ。

「食語り Fイレブン」として冊子版制作へ[編集]

第2回「深谷ねぎまつり」では、もう一つのメディア誕生の可能性がある。

ゆめ☆たまごから派生した風土飲食研究会が、平成25年度「『食語り』によって『食社会』を変える」事業が農水省「食のモデル地域育成事業」に認定。事業「Fイレブン」の「モデル語り」のひとつとして、冊子版が作成、販売されることになった。他事業との連携模索は同事業の目的のひとつ。Fukapedia へのこの投稿は、冊子版に「あとがき―著者自身による解説」として収録される予定だ。産業まんがの作画担当で著者経営の学習塾OB宮島健太郎による描きおろし地図も制作中。無事な完成が待たれる。


有志Gデザインによる2011年「梅まつり」直前版

最新版の縦書き文庫

未完成のまま公開の映像版

委託販売と通信販売

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